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SWEET MORNING



 朝、忍足は時間より少し早く目が覚めた。
 隣には、愛しい人の寝顔。
 キツイ印象のある、澄んだブルーは瞼に隠され、少しだけ何時もより幼い印象を持たせる。
 朝日に透け、金色に輝く髪をそっと梳いてやると、微かに笑む、眠る恋人。

「ほんま、綺麗やなぁ…」

 …もう暫くこのまま眺めていたい。
 そう思うが、これ以上寝ていては遅刻することになるだろう。
 こんな特別な日くらい、学校なんて場所で時間を潰すより、二人きりで居たいとは思うが、テニス部部長でもあり、生徒会長でもあるこの恋人には、きっとあえなく却下される。
 まぁ、今日は部活のない日で、朝と放課後をこんなにも、二人でのんびり過ごせる、それだけでも感謝しようと思い直し、忍足は隣で眠る恋人を呼ぶ。

「景吾、景吾、そろそろ起きんと遅刻してまうよ?景ちゃ~ん?」
「ん…?もう、そんな時間か?」

 眠そうに何度か瞬くと、跡部は忍足に視線を向ける。
 その視線に応えるように微笑み、「おはよう」と忍足が言うと、

「…もう少し、寝る」

 そう言って、忍足の方へ頭を寄せる。
 予想外の彼にの行動に驚いた忍足は、まじまじと跡部を見ながらも、一応確認をとってみる。

「これ以上寝てると、遅刻することになるんやけど、えぇんか?」
「今日は休む」
「は?!」

 今度こそ驚きの声を上げてしまった忍足に、跡部は照れた顔を隠すように忍足の胸元へ顔をつけ、

「今日くらい、二人きりで居たっていーだろ」

 と、小さく呟いた。
 そんな跡部の可愛い仕草に、堪らず抱き締め、額にキスを落とす忍足。

「そうやね、今日は大切な日やからな」

 自分の誕生日を、大切な人に祝ってもらえる幸せ。
 嬉しそうにそう言って微笑む忍足に、跡部の頬は更に赤みを増した。

「それに、学校なんて行ったら、二人きりどころか、多分今日は会えねーぞ」
「あ~、確かにそやな」

 普通にきけば、意味の分からない台詞も、言う相手が跡部なら、想像は容易だ。
 今日は、ファンクラブまで作られるほど人気のある彼の誕生日。
 プレゼントを渡そうとする女の子達に囲まれ、彼には近付くのも困難な状況になるのは明らか。
 その想像に苦笑いをしつつ、同じように二人で居たいと思ってくれた跡部が、忍足はよりいっそう愛しく思えた。

「景吾」

 呼ばれた自分の名前に、跡部は忍足と視線を会わせる。

「誕生日、おめでとう。今日を一緒に過ごす相手に、俺を選んでくれてありがとうな」
「バーカ、当然だろ?お前以外となんて、過ごしたくもねーんだよ」

 二人きりの時に見せる跡部のこの可愛さに、自分はかなり弱いらしいと、忍足は改めて感じる。
 愛しい恋人を胸に抱き、次に起きたら今日をどう祝って過ごそうかと考え、小さく笑みを溢す忍足。
 心から愛しいと思う相手を感じ、相手のことだけを考える時間。
 特別な日の幸せな朝。





 跡部様、ハピバースデイ☆
 ラジプリのツンデレ発言を聞いてから、
妄想が止まらない…(爆)
 それに触発されて書いた作品だったり(え)
 同じく「朝」の小説を鳳宍で書いてるので、
タイトルに悩みました;
 
2006,10,4



モドル